神奈川県藤沢市城南 東海道線沿線のカウンセリングルーム。辻堂駅より国道一号線方面へ徒歩12分。10:30~21:00、年中無休。


優しい希望

2018年06月10日 10:44

戸建て住居の玄関脇、庭先、裏庭の僅かなスペース、今の時期はそういった場所に紫陽花を植えている家が思いの他多い事に気付かされます。
しかしまあ紫陽花というのは、ネクロの呪縛から我が身を引き剥がしたエロースとでも言えばいいのか、冬の間はまるで即身仏であるかのように枯れ果ているにもかかわらず、早春から瑞々しさ、生気を取り戻し始め、梅雨の時期に合わせて色とりどりに目覚める・・・・・・・再生、反復、輪廻、永劫、ちょっとよく分かりませんけれど。
紫陽花というのは、名所と言われている場所に赴いて人だかりの僅かな隙間から諦めと共に目に焼き付けるかのように凝視するより、優しい雨音に包み込まれる静寂の中で、人のまばらな雨の遊歩道であったり、畦道の意外な一角であったり、昼前の地域の小さな公園の片隅であったり、とにかく孤独の中で寂しさや心細さと共にただ漠然と瞳孔を開き、静かに耐えながら眺めるのがいい、できればその自分の姿は、誰にも目撃されない保障と共に、小雨に佇みつつ。
紫陽花というのはなにか、そんなような作法がサマになるかのようにも思えます。
孤独や、寂しさや静寂がとても良く似合う、そして我を忘れて淡い色彩の前に佇んでいるうちに気が付くと、少し寂しさが和らいで洗い流されている自分に気が付く。
紫陽花というのは、優しい希望を内包しているように思います。

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