分節機能

スマホのカメラ機能の進化、外を歩いていて空を見上げる、鮮やかな緑の木々の上空の澄み渡った青空を際立たせる乳白色の雲。

このコントラストに感嘆し、スマホのカメラを向ける。

切り出したスマホ内の写真と実際の目の前の景色を見比べてみると、明らかに実際の景色より美しい、切り取られた写真。

景色に感嘆した一瞬ののちに、思い出として醸造され美しく装飾された情景であるかのような。

本来、情景が美しさを獲得するにはそれなりの時間が必要になるのだけれど、スマホのカメラ機能という科学ツールを使用する事によって、風景を切りだした瞬間に時間の経過を省いて、現実を装飾して提出してきてくれる・・・・・・という、ちょっとした違和感。

そのアンチテーゼとしてフィルムカメラがまた流行りだしたりもしているかのようで。

現実界を自己の保有する言語によって分節するのではなく、進化したカメラ機能という科学によって無条件で美しく分節して、その保有者に優しく提出してくれる、多くの場合、科学とは母性なのですからね。